昨日hontoで高瀬志帆作「二月の勝者 −絶対合格の教室−」を1〜10巻一気買いしました*1。
どんな本かと言えば、中学校受験の塾講師とその生徒とその保護者のお話です。
私も夫も首都圏で育っていますが、双方ともに公立中・高、大学が私立というルートを辿っています。
ちゃんと話し合ったことはありませんが、うちの子供達も、私立に行くならできれば大学からかな、と考えている経済感覚です。
そして理系だったら申し訳ないができれば国公立頑張ってくれといったところ。そんでもって奨学金無しで通わせたい(借金を親が返すにしろ就職後の子供が返すにしろ大変すぎじゃん…)。
つまりは、中高一貫教育の私学のことなんてなんも知らない。
でも、これを読んだら、受験は恐ろしく大変だけど受験させた方がいいんじゃないか?みたいな気にチラッとさせてしまう笑。
(特に3話「二月の決断」で平凡なサッカー少年、三浦佑星の保護者にサッカーやるより受験を勧めるところとか)
主人公の黒木蔵人は仕事中はこんな怖い顔(下の画像)なんですが授業は普通に面白くて、プライベートだとわしゃわしゃな髪型でカジュアルなファッション、しかも何かアヤシイ裏の顔がある人です。
中学受験の当たり前を知ることができる
中学校受験の当たり前の基本情報もちょこちょこ出てきます。対保護者やヒロイン(?)の新人講師の佐倉麻衣に向けて説明しながら、読者にも丁寧に教えてくれます。ものすごく勉強になりました。
例えば…
- 中学受験での偏差値のこと
(2巻9話「三月の集合」、7巻62話「10月の岐路」など)
大学受験の偏差値などとは違い、中学受験をする子供達で出す偏差値なので、偏差値50は同学年全体の平均値よりずっと上。
中学校受験の世界では偏差値50以下の学校だからといってレベルが低いわけではないのです。
- 東京では、2/1〜2/4の間に試験が行われる。一部難関校以外は複数回入試のチャンスがあり、当日に合格発表(!)、同じ学校を複数回受験もできる。
(1巻4話「二月の事情」など)
記述問題もあるだろうに、採点側も即日・翌日発表ってヤバくない?
しかも読み進めると分かるが、午前はA校、午後はB校なんて受験のしかたもあると。(5巻43話「八月の相談」など)
1日に一校受験しか経験ない自分にはなかなか信じられない。12歳にいくらなんでもハードすぎないか?
- 千葉や埼玉は1月に入試があるので、都内の子が受験しにくる
受験慣れのためですが、千葉や埼玉県民はどうすりゃいいんだ?w
- 重課金もいいところ
月謝に加えて夏期講習やら合宿やら集中特訓コースやらなんやら、二月の試験に向けてどんどん積み上がる塾費用です。とはいっても、受験生の親だったら、普通に考えたら受験直前や学校の休みに対策コース多分とると思う。
しかも後にはひけないって感じになりそう。これだけ投資したのに撤退するなんてもったいない、こんなに頑張ったのに、とか、あと少しなのに!とか。
たまにツイッターで中学受験関係でバズってますが、そりゃ金額積み上がるわと思いました。家も売る家庭が出てもおかしくない*2。
この辺は中学受験やる家庭にとっては当たり前だと思うのですが、まるっきり知りませんでした。
中学受験するのは仕方がないところもあるのか…?
「今の子達には選択肢が少ない。時代が違うのね。」
1巻で新人講師佐倉先生に、先輩講師の桂先生が話した言葉です。
高校の募集をやめている私立の中高一貫校がどんどん増えているということはニュースでたまに見ているのでほんのり昨今の受験事情は知っています。
私学も商売ですから生徒集めや教育方針のために仕方がないとは思いますが、この場合、今のティーネージャーが不憫だなと思うのは、
公立トップ高校を狙える成績上位の生徒が、その子の学力レベルに適している滑り止め・併願で受験できる選択肢がものすごく狭まっているんだろうなということです。
うちもずーっと先のこととはいえ、公立高校の方向で行くとして、(どんな学力レベルだとしても)併願できる私立校が果たして10年後に選べるほど存在しているのだろうか?なんて頭のすみっこのすみっこで気になっています。(まったくなくなることはないとは思いたいが)
もし我が家が中学受験することになったら…
もれなく私はSAN値ゼロになって発狂してしまいそう。(性格的に)
なのでできればしたくない。
ただ、中高大の受験事情はちょっとは気にしておいた方がいいかもとは思う。
あとは、中学受験するくらいなら習い事に投資してみたいな、という気持ちもある。
いわゆる御三家に入学した生徒たちって、トップ校に入学しても、今度は大学受験のための新たな塾通いがスタートするのかな。
そう思うとこれだけ中学受験に投資したのに、中高の学費だけでなく塾への投資もまだ続くのかって思うと、教育費って底知れないですね。
がんばれ世の子供達。